文楽ひとすじの笹本健大夫。
健は師匠の銀大夫から、「実力はあるが変人」と評判の三味線、鷺澤兎一郎と組むように言われ……
食われるなら本望だ。
兎一兄さんが鬼なら、俺も鬼だ。
負けられない。負けたくない。
「文楽バカや」
――すべてが、文楽を中心に舞台が回る。
おもしろかった!
これを読んだ後に、同じ作者さんの『あやつられ文楽鑑賞』を読んで、また読んでしまいました。
おもしろかった、ほんとうに。
どこまでも突き進み、極めようとする健と、三味線の兎一郎がすごく引き込まれた。
作者さんの文楽への愛情があふれていて、解釈が垣間見れる。
『あやつられ〜』の方が先で、そちらで感じた解釈が、こっちに盛り込まれているかんじ。
途中から、健の「えー」がおかしくてしょうがなかった。
あと、兎一郎のことで「そんなにいやでもなさそうな顔つきだった。」とある部分がお気に入り。いいんだ、と。
恋愛が脇におかれているのが、この作者さんはいい塩梅だなぁといつも思う。
それが絡んではいるのに、スパイスというか添え物というか、そんなかんじでそれがいい。
とにかく文楽! それしかない! という健がすごく引き込まれる。
ああ、こういう部分は、自分にだってある。そう思えてしまう。
本当、おもしろかった。

